いよいよ開催されるFRJ2026。弊社は対面、オンデマンドで合計4セッションを担当させてもらうのですが、そのうち1セッションの概要をご紹介する記事を作成しました。
寄付という果実は、目に見える成果です。けれど、その木を支えているのは、土の中に張りめぐらされた信頼や関係といった、目には見えない部分です。
ファンドレイジング日本2026(FRJ2026)の協賛セッションとして、株式会社奏ワークスの北村が、NPO法人あいだ 代表理事の奥野様と対談を行いました。テーマは資金調達そのものではなく、その土台となる「組織の情報をどう整えるか」です。

出典:日本ファンドレイジング協会代表理事ヤマゲンさんのプレゼン資料
NPO向けに実務で使える便利なサービスは数多くあるにもかかわらず、そのノウハウが十分に知られていない。特に、現場で日々奔走されている労働集約型の法人にこそ大きなメリットがある——そうした問題意識から企画されたセッションです。
この記事では、対談の概要と、kintone導入前後の変化(ビフォー・アフター)をダイジェストでご紹介します。デモ画面を含む全編は、FRJ2026のオンデマンドセッションにて公開予定です。
NPO法人あいだ様について
NPO法人あいだ様は、埼玉県熊谷市を拠点に活動されている団体です。中心となるのは、さまざまな事情で親と一緒に暮らせない10代の若者を受け入れる自立援助ホーム「育ちの木」。年齢的に児童養護施設へ新たに入ることが難しい子どもたちにとっての、居場所となる場です。あわせて、学習支援や子ども食堂にも取り組まれています。
「あいだ」という法人名は、臨床心理士でもある奥野様が20年ほど前に耳にした「心は人と人との間にある」という言葉に由来するそうです。
目指しているのは貧困対策。ただし「困っている人を減らす」だけでなく、天秤の反対側にある「助ける人を増やす」ことも必要な貧困対策だ、という考え方で活動されています。
24時間体制で子どもたちを支える現場は、まさに労働集約型。今回は、その職員シフト管理を中心にお話をうかがいました。
「情報インフラ」という考え方
対談の中で、奏ワークスからご紹介したのが「情報インフラ」という考え方です。
多くの法人では、Googleフォームやスプレッドシート、決済ツールなど、それぞれの場所に情報が分散しています。これらをkintoneにつないで一元集約し、入れる・つなぐ・活かすの3つのステップを、ツールをまたいで一気通貫にする。これを情報インフラと呼んでいます。
誰が見ても業務の流れが一目でわかり、引き継ぎがスムーズになる。さらに、セキュリティが担保された状態で組織の資産を蓄積していくデータベースとしても機能します。

導入前の課題(Before)
あいだ様のシフト表は、Googleスプレッドシートで作られていました。行に職員名、列に日付が並ぶ形式で、24時間必ずスタッフがいる状態を保つために、抜けがあればすぐ分かるよう関数も組まれています。すべての日程が埋まったらそれを印刷し、紙を見ながら現場を回す。ここまでは、とてもよく工夫された運用です。
課題が出てくるのは、その後でした。
- 体調不良などで突発的にシフトが変わると、紙とスプレッドシートのどちらが「正しい」のか分からなくなる
- 変更を給与に反映する作業は手作業。月末にまとめて集計するため、計算ミスも起きる
- そもそも「いつ、どう変わったのか」という履歴が、どこにも残らない
奥野様は「紙に書かれているのが本当なのか、電子データが本当なのか」と、当時を振り返ります。
導入後の変化(After)

解決の方向は、「スプレッドシートをやめる」ではありませんでした。
シフトを組むところまでは、すでに十分に効率化されている。そこで、スプレッドシートでの作成はそのまま残したうえで、ボタン一つでkintoneに転記できる仕組みを構築しました。
ポイントは、転記先のkintone側に「変更時の開始時刻」「変更時の終了時刻」という列を持たせたこと。これにより、これまでどこにも残らなかった変更の記録に、居場所ができました。
奥野様からは、次のようなコメントをいただいています。
スプレッドシートから離れてしまうのは惜しいと思っていたところに、一発転記ができるとうかがいました。今までのシームレスさが、そのままkintoneまで直結できるのがいいですね。
シフト作成から給与計算までを、二重入力なく一本の流れにする。これが、労働集約型の現場における最初のDXでした。

これから:利用者データベースの構築
対談の後半では、現在進行中の取り組みについてもうかがいました。利用者さんに関する情報を、kintone上のデータベースに集約していく構想です。
これまで予定の管理に使われていたのは、スタッフルームの壁に貼られた紙のカレンダーでした。視認性が高く、手軽に書き込める。けれど1ヶ月が終われば1枚破られ、最終的には捨てられてしまう。「この方が前回受診したのはいつだったか」を確かめようにも、カレンダーを2枚またぐと分からなくなる、という課題がありました。
日誌やLINEのトーク履歴、受領証といった複数の受け皿を、利用者IDで名簿アプリに紐づけていく。それによって、利用者ごと・職員ごとなど、さまざまな切り口で情報を振り返れるようになります。

奥野様が語られたのは、蓄積そのものの価値でした。ある利用者さんへの対応を、2年後に別の利用者さんへ応用する場面はしばしばある。そのとき記録が残っていれば、「こういうこともできる」と支援の引き出しとして差し出せる。情報が組織に残ることは、そのまま支援の質につながります。
まとめ
今回ご紹介したのは、対談のごく一部です。
- スプレッドシートからkintoneへ一発転記するデモ画面
- 利用者データベースの詳しい構成
- 労働集約型の現場でDXを進めるときの考え方
これらの詳細は、FRJ2026のオンデマンドセッションにて公開予定です。労働集約型の現場でのDXにご関心のあるNPO・団体の方は、ぜひ本編もご覧ください。
👉 自団体の情報管理や業務フローに課題を感じている方は、ぜひ一度奏ワークスにご相談ください。

