私はこの15年間、NPO・NGO・公益法人・中間支援組織の現場で、経営、IT、ファンドレイジング、人材育成に関わり続けてきました。
その中で確信していることがあります。
NPOの未来は「想い」ではなく「構造」で決まるということです。
本記事では、日本人の思考特性からNPOの構造的課題、そしてこれからのNPOが持続可能になるための具体策までを体系的にまとめます。
(特に、NPO経営におけるキントーン(kintone)の役割は重要性が高いです。)
人間はPL思考から抜け出せない生き物
私たちは、無意識のうちにPL(損益計算書)で物事を判断しています。
- GDPはいくらか
- 年商はいくらか
- 年収はいくらか
これらはすべて「フローの指標」です。
毎年どれだけ稼いだか、どれだけ生み出したか。
しかし、この思考には大きな落とし穴があります。
将来を支える土台(ストック)を見落としやすいのです。
日本人が本来相性がよいのはBS思考
一方で、日本人は本質的にはBS(貸借対照表)思考と相性が良い民族です。
- 日本の個人金融資産は世界第2位
- 数字よりも「関係性」を重視する文化
- 非合理でも、人間関係を軸に意思決定が進む社会
これは裏を返せば、ストック(蓄積)を重視する文化的土壌があるということです。
NPO経営は、まさにこのBS思考が求められる分野です。
全世界における日本のGDP比率が1980年代は18%強→2025年代は4%
この事実を直視したで、
- ユニコーンや急成長を是とする法人運営は、日本人には適合しにくい
- 細く長くゆっくり事業拡大を目指せるNPO経営こそが日本人には適合している
というのが私の持論です。
日本人が合理が苦手な背景|経営資源に溢れ、独特の歴史と思想が顕在する
なぜ日本人は合理化が苦手なのでしょうか。
以下背景を記載しますが、非合理なのはしょうがないし変えられないが、非合理な経営が広まる環境だからこそ、合理化や最適化を推進できるスキルを身につけることがチャンスである、と認識してもらえたら嬉しいです。
経営資源が多すぎる国
- 人:一国あたりの人口が多い
- モノ:供給過多
- カネ:都道府県単位が一国規模
工夫しなくても、事業が回ってしまう経営環境にあります。

引用:https://www.news-postseven.com/archives/20161123_465189.html?DETAIL
歴史と思想
- 歴史が長く、過去の経緯が尊重されやすい
- 目上の意見が重視される文化
結果として、「変えない理由」が積み上がりやすい社会になりました。
経営資源が乏しいNPOこそ合理化が必要
ここで重要なのが、NPOの置かれている現実です。
- 法人数:年々減少
- 年商1,000万円超のNPOは全国で5割弱
- 働く人の平均年収:200万円台

日本社会全体では経営資源が溢れているにも関わらず、NPOだけが極端な資源不足に陥っている。
だからこそ、NPOには合理化が不可欠なのです。
NPO運営者/働き手にとってのデメリットとメリット
合理性が求められるNPOに関わる場合、運営者観点と働き手観点でのデメリットやメリットを体系的に記載します。
NPO運営者にとってのデメリット
NPOは以下を根拠に、構造的に非効率にならざるを得ません。
売上を上げるために、営利企業よりも非効率にならざるを得ない、どれだけNPOの規模が拡大してもこの事実が変わることがない、この事を肝に命じて欲しいです。
根拠1:受益者と支援者を同時に集める必要
ビジネスは「顧客=支払者」ですが、NPOでは受益者と支援者が分離しています。

根拠2:ステークホルダーが多様
寄付者、ボランティア、行政、企業、受益者…。関わり方の選択肢を用意する必要があります。

根拠3:小規模でも高い透明性が求められる
規模に関係なく、情報公開と説明責任が求められます。
NPO運営者にとってのメリット
一方で、NPOには他の業態にはない強みがあります。
- 遺贈寄付市場を狙える
- 受益者集客の再現性が高い
- 50代以上の富裕層とWIN-WINな関係を築きやすい
これは、BS思考と極めて相性が良い構造です。
とあるNPOは、遺贈寄付関連で1億以上の収入が発生している事実があります。

おひとりさま(子どもがいない人等)が国に財産を没収される金額は逓増傾向にあり、おひとりさまが生前にNPOに寄付するという遺言書を作成する行為が広まることで、NPOへの資金循環の仕組みが社会実装できる市場環境にあります。

出典:https://www.hokkaido-np.co.jp/article/1175214/
NPOで働くデメリット(働き手視点)
正直に言います。
- 給料は低い
- 生産性も低くなりがち
感情労働が多く、疲弊する現場も少なくありません。
NPOで働くメリット(働き手視点)
それでもNPOには、他にはない魅力があります。
- ITツールを現場に実装する経験が積める
- 組織の変化を肌で感じられる
- 自己肯定感・やりがいを得やすい
特にDX人材にとって、これほど実践的な環境は他にありません。
NPOで持続可能に働く2つの事例
15年間NPOキャリアに関わり、独立5年で2社経営し5事業立上げた中でたどり着いた、持続可能性を担保しやすい事例を抜粋します。
事例1:個人事業主×NPO
年商500万円を超えた個人事業主が、年商1,000万円以上のNPOに
- キントーン(kintone)構築
- ファンドレイジング支援
で関わり、安定した収入と社会的意義を両立。
事例2:50代会社員のセカンドキャリア
寿命100年時代を見据え、
- キントーン(kintone)構築
- 特に遺贈寄付支援
を軸にNPOと関わることで、キャリアと社会貢献を同時に延ばす。
NPOはAIよりもDXが重要
AIは万能ではありません。
NPOにとって本当に重要なのは、ステークホルダーの情報を組織に残すこと。
これはAIではなく、DX(情報基盤の設計)でしか実現できない領域です。
年商別にみるNPO経営をスケールさせるための施策要点
〜年商1,000万、3,000万、1億を基準に、それぞれの段階ごとにどんな施策をすることが、PLとBSをバランスさせた施策になるかの概要を記載します。
年商1,000万円までの乗り越え方
| 財源 | 主な施策 | |
| 寄付 | コングラント導入 200万規模の単発クラファン実施 認定取得を見据え、3,000円寄付者の募集 |
|
| 自主事業 | WordPressでサイト構築 受益者向けSEOの実施 グーグルアドグラントの活用(寄付者でなく受益者やボランティアを募集) イベント事業をキントーン(kintone)で最適化 |
|
年商3,000万円までの乗り越え方
| 財源 | 施策 |
| 寄付 | マンスリー寄付開始 年1回の寄付キャンペーン キントーン(kintone)で全ステークホルダー一元化 遺贈寄付ページ作成 認定取得 |
| 自主事業 | 受益者や受益者を支援する人のマイページをキントーン(kintone)で構築 定性・定量データの蓄積 WordPressからnuwebへ移行 |
WordPressとnuwebの比較については、以下の記事をご参考下さい。
年商1億円までの乗り越え方
| 財源 | 施策 |
| 寄付 | 法人寄付集め体制構築 中間支援組織と連携した遺贈寄付集め体制の強化 |
| 自主事業 | 受益者コミュニティサイトの立上げ 企業の従業員向け研修事業の立上げ |
経営根幹を支えるコスパ最強ツール
- GA4
- Googleサーチコンソール
- WordPress
- コングラント
- キントーン(kintone)
NPOを経営する上で、高価なツールは不要です。
重要なのは「組み合わせ」と「設計」です。
例えば、以下のように、様々なツールを組み合わせることで、NPO経営の最適化が実装できます。

さらに、キントーン(kintone)を活用し、様々なツールを組み合わせることで、ステークホルダーの一元管理を実現することが叶います。


ファンドレイジングにとって最も重要なリピート寄付を最大化や見込者の寄付意欲を醸成醸成する仕組みも、キントーン(kintone)で実装が可能になります。

NPOが初期からやるべき、誰も教えてくれない3つの事
私が30団体以上のNPO経営支援に関わる中でクライアントに貢献できた、ファンドレイジングの教科書には決して乗っていないノウハウを共有します。
ドメイン取得は.orgで取得する
SEOの土台を作る最重要施策です。
NPOが最も再現性が高いマーケティング施策は、受益者の集客を行う事です。
私は、某NPOの受益者をSEOを軸に30本の記事を書くことで1,000人超、会員登録する仕組みを構築したことがあります。
その他、塾NPOのある記事を、「大学無償化」というビックキーワードで上位表示させて、集客に繋がる仕組みを構築したこともあります。
以上のように受益者向けSEOは、NPOにとって再現性の高い施策であり、そのSEOを機能させる上で、最も重要であり、一度設定したら変更コストが最も高いのがドメイン取得になります。
GA4・サーチコンソールを最速で設置する
データがないと改善は不可能です。
NPOがどんなキーワードでサイトの価値を高めるかを判断する上で、GA4やサーチコンソールは重要なのですが、実は、2つのツールは、設定した後でないと、データ収集ができない特徴があります。
Webマーケティングのことが一切分からない初期のNPO経営者であっても、必ず、サイト公開するタイミングで、GA4やサーチコンソールを設定しましょう。
情報インフラ構築はキントーン(kintone)一択であると認識する
ステークホルダーの一元管理や限られた経営資源で寄付者を増やしたり、満足度を高めるためのツールとして、キントーン(kintone)やセールスフォースがあります。
この2ツールを比べてみると、圧倒的にキントーン(kintone)の方がNPOに合致した仕組みを構築が可能になります。

おわりに:NPOの未来は「設計」で決まる
NPOの未来は、想いの強さではなく、構造の合理性で決まります。
BS思考、DX、ストックの蓄積。
これらを理解し実装できたNPOだけが、次の10年を生き残ります。
そしてこの分野は、これからの日本で最もチャンスがある領域でもあります。
以上を踏まえて、体系的にNPO経営を支援するためのキャリア形成をしたい方は、DXのプロ養成講座に興味を持ってもらえたら嬉しいです。
新年のスタートダッシュ、持続可能なセカンドキャリアを形成するために、仲間と共に学びませんか?
お待ちしております。



